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桜と関係を持って2年
愛しくて、恋しくて
社内では横顔を眺めるだけで
会えるだけで嬉しくて。
人目を忍んで一緒に居られる逢瀬は
日々の糧になっていたし
何も他にいらないほどに
何もかも棄てる気持ちを持ち始め……
危ういほどに桜に夢中になっていた。
あまりの変わりようにか
妻に疑われ始めていたのだ。
もしかしたら
桜は……それに気付いていたのだろうか。
それだとしても……
それならなぜ?
昨日あんな約束をした?
……「あ……」
考えを巡らすと
ひとつ気になった。
彼女は昨夜
いつもは言わない台詞を言ったのだった。
『さようなら……』
またね、ではなく、さようなら
桜は確かにそう言った。
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