第3章感謝祭

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町はいつになく賑わっていた。すでにティーチ達が山賊を退治したという噂が広がり、町長を中心に祭りの準備が始められていたのだ。 「遅いなぁ……グリーンさん。本当に彼らはあの山賊達を懲らしめてくれたのかい?」 グリーンと呼ばれた女性が答える。 「間違いないわ。彼とはちょっとした顔見知りなの……あの程度では怪我ひとつする様な男じゃないわよ。パウロ君も必ず無事に帰ってくるから心配せずに待ちましょう」 そういうと大きな伸びをしながら北の方角を眺めた。長く美しい金色の髪と明るい性格。グリーンはとても華奢な姿をしていたが、素性を知る人間からはSS【サイレント・ストーカー】の名で恐れられる暗殺、尾行の達人であるというもう一つの顔があった。そんな姿を一切匂わせず住民にすっかり溶け込んだグリーンもまたティーチ達の帰りを待っていた。 日が赤く染まり、祭りの準備が終わった頃、彼らは町へと戻ってきた。目を真っ赤にはらして眠るパウロを担いだティーチは町の入り口が見える所まで来ていた。その時、大きな声がした。 「この馬鹿!!」 グリーンだった。あまりの大声にパウロは飛び起き、危うくティーチの背中から落ちそうになった……が次の瞬間には本当に振り落とされる事になる。グリーンがティーチの胸倉を掴んで揺すりながら言った。 「アンタね!そんな物騒な鎌に返り血ベッタリ……それでどの面さげて町の人に挨拶する気よ!こいつは私が隠しとくからアンタはその子おぶって町に帰りなさい」 言い終わらない内にグリーンはティーチから鎌を取り上げて町の裏門へと走って行ってしまった。職務の遂行を第一とするグリーンは必ずしもティーチの味方と言える存在ではなかった。しかし、人との接触を極力避けてきた彼の非常識な部分を補う意味では、彼女の社交性と世話焼きな性格は理想的といえた。もっとも、グリーンのせいで地面に叩きつけられたパウロは悶絶しがらティーチに文句を洩らした。
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