第3章感謝祭

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「おい、あれは酒だぜ?」  一瞬ビクリと体を正したクーはそれがパウロの声だと気付いて胸を撫で下ろした。そして、パウロに小声で言った。 「しっ。そうよ。あれが飲めるのは大人だけなのよ?」 「そりゃそうだろ?大人の飲み物なんだから……」  クーはため息を一つ。 「だ・か・らぁ~分からない?あれの味を知っている子供はいないのよ?」 「!!」  パウロは頷くとクーと二人、それの置かれているテーブルへと近づく。 「大人の……」 「飲み物……」  しかし、それは目の前まで到着すると同時に、一人の女性の手に取られてしまった。 「あら、これはお酒よ?」  酒瓶を片手にグリーンが言う。 「分かってゴ!?」  犯行を認めようとしたパウロの脇腹にクーの肘が当たる。 「あ、間違えちゃったみたいです」 「あら、そう?」 「あっ」 「ああぁ」  グリーンは何気ない顔で、その瓶に口を付けると半量程を一気に飲み干してしまった。 「……って、言うか」  そこで初めてクーが気付き、指をさす。 「!え?あの皿って?」  パウロの視界にはグリーンの通路と思わしき空皿の山が形勢されている。これには流石の町民達も唖然となったが、それに気付いたグリーンはわざとらしく頬を赤らめると初めのテーブルで大人しく食事をしていたティーチを振り向いて言った。 「あー……あの、私達っていつ食べれるか分からない生活だったからこんな御馳走を前にするとつい……ね?」 とどめにニコリと笑って誤魔化そうとしたグリーンだが、大人しく木の実のパンをかじっていたティーチがそれを拒否した。 「俺を巻き込むな……」 先に到着し信頼を得ていたグリーンの印象もあり町民達は大いに笑い、ティーチは快く町にむかえ入れられた。
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