第1章出会い

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パウロは怖る怖る聞いたが、ティーチはきっぱりと首を横に振った。 「な、ならいいんだ。この辺りじゃ今、教育者の呪いの噂があってみんな敏感になってんだ。なんでも十字架の死神とか呼ばれてるソイツに関わった奴はみんな背中に十字の傷を負って殺されているそうだ。その時に生き残った奴も、十字の傷は交差部位の縫合が出来ずに、背中から腐って死ぬ。しかも、背後から襲われて正体も不明。呪いの噂もあって死神の正体は教育者の家系の者じゃないかって話しをどこへ行っても聞くよ。まぁ……」  パウロはそういってチラリとティーチを見て悪戯っぽく笑った。 「その大きな鎌をみていると死神ってのはアンタのがお似合いかもしんないけどな」  不安の解けた途端に元気が出てきたパウロは冗談をまじえる。それを機に今度はティーチがパウロに聞いた。 「教育者の家系であることは同じだ。お前は……俺を恐れないのか?」 それを聞くと、よくぞ!とばかりに立ち上がり、パウロは元気に、そして誇らしげに答えた。 「町長が言ったんだ。先代の罪で人を裁くのは変だってさ。それは教育者だって変わんないよ。オイラは町長に拾われたから今生きてられる。だから町長の言う事は何でも信じてるし、尊敬してるんだ」  それを機にパウロの誇らしげな町長の話は次々に続き、それは夜遅くにまでおよんだが、ティーチはその無邪気な語りを最後まで聞いていた。
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