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「あら?」
応接間に戻ってきた私は、誰もいないその席を見て不思議に思う。先程までいたはずの男は、もう家のどこにもいなくなっていた。
「今日は急いでいたのかしら。帰るなら一言声を掛けてくれたらよかったのに…」
少し引っ掛かりはしたものの、とりあえず、そのまま応接間の自分が座っていた席に腰を下ろした。
持ってきたアルバムは埃が被っていて、もう何年も触っていないのが分かった。
「もうずっと見ていなかったわね、そういえば」
ため息ともつかないような呟きをもらす。ドリーは隣りでいい子に座っていた。
軽く埃を払ってから、そのアルバムを1枚めくった。
「えっ…」
私は、驚きのあまり声を漏らしたまま固まってしまった。
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