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『……っ!?!!』
目を覚ますと、そこは見慣れた天井だった。身体が重い。汗をかいているのか、ジットリとした感覚に気分が悪くなる。
『……さく…ま?大丈夫か?』
叫び出したい程のイライラした気分が、一気に飛散していく。僕は、直ぐ側にある温もりをギュッと抱き締めた。
『嫌な夢見たのか?大丈夫だぞ。俺が側にいるからな?』
『……ありがとう』
愛しい存在。
彼が要れば、僕はどんな苦しみにも耐えられる。
あの頃とは違う
僕には、杞白がいる。
杞白という存在意義がある。
だから、大丈夫だ
『……起こしてしまって、申し訳ありません。』
『いい、気にしてない。嗄久間、俺がギュッてしていい?そしたら、きっともう嫌な夢見ないぞ!』
『フフッ、そうですね。じゃあ、そうしてもらいます。』
杞白に抱き締められるのは本当にレアで、こんなに小さな身体なのに今はとても大きく広く感じる。安心感に包まれて、また目蓋が重くなってきた。
『おやすみ嗄久間』
『…お……やす…み』
こうして
夜はふけていく
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