僕達の存在意義

3/3
14人が本棚に入れています
本棚に追加
/56ページ
『……っ!?!!』 目を覚ますと、そこは見慣れた天井だった。身体が重い。汗をかいているのか、ジットリとした感覚に気分が悪くなる。 『……さく…ま?大丈夫か?』 叫び出したい程のイライラした気分が、一気に飛散していく。僕は、直ぐ側にある温もりをギュッと抱き締めた。 『嫌な夢見たのか?大丈夫だぞ。俺が側にいるからな?』 『……ありがとう』 愛しい存在。 彼が要れば、僕はどんな苦しみにも耐えられる。 あの頃とは違う 僕には、杞白がいる。 杞白という存在意義がある。 だから、大丈夫だ 『……起こしてしまって、申し訳ありません。』 『いい、気にしてない。嗄久間、俺がギュッてしていい?そしたら、きっともう嫌な夢見ないぞ!』 『フフッ、そうですね。じゃあ、そうしてもらいます。』 杞白に抱き締められるのは本当にレアで、こんなに小さな身体なのに今はとても大きく広く感じる。安心感に包まれて、また目蓋が重くなってきた。 『おやすみ嗄久間』 『…お……やす…み』 こうして 夜はふけていく
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!