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足音をなるべく抑え歩いていた、とりあえず護身用にバットを無人になったスポーツ店から拝借し友人の家へ
ヤツらも、人混みに集中しているのか路地裏や脇にそれた細い道にはいないようだ
コンビニも人の気配はない、ガラスは割れ商品は散らばっている血の跡もあるが死体も人影も無い
「ゲームかよ」
噛まれたらヤツらの仲間入り、よくゲームや漫画であるもんな
スポーツ店で拝借した鞄に詰めたコンビニのおにぎりを子供と歩きながら食べる
「なぁ、名前なんてーの?」
「ゆうだよ」
食べ物を食べて落ち着いたのか声が少し明るくなっている、よかった
「ゆうか、俺は幻菟
今から山の途中にある俺の友達の家に行くんだ、もう少し頑張れよ?」
子供ながら今の状況が分かるんだろう、声は明るいが小さい声を出すし今も頷くだけだ、チョコバーを手に持たせ抱き上げる
近くの家から物音がする、再び走った、公園を通りすぎ、線路の下をくぐり抜け山の坂は流石にきつい
静かだな、あの混乱が嘘の様だが逆に静かすぎて怖い、坂が終わり数件の家がみえた、友人の表札が見えドアを叩く、微かにテレビの音が聞こえるが返事がないもう逃げたのか?
「幻菟?」
家の裏から友人が姿を見せた、口を開いた瞬間玄関のドアをドンッと中から叩く音が
驚きながら見ると「変なヤツが入ってきたから鍵を全部閉めてたんだ」と友人、アキラが言いながら近づいてきた
「もう、ここまで来てたのか」
「お前って兄弟居たっけ?」
アキラは木製のバットを持っていた流石野球部
「いや、逃げ遅れた子供、ゆうって名前」
そっか!とアキラは言いながら頭を撫でた
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