第1章

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家賃3万円の安アパートの壁は薄い。 毎日お隣さんに届けられる新聞配達員の足音で薄っすらと目をさます。 慣れてくるまではそこで目を覚ましてしまい、まだ日も昇っていないというのに僕のイライラは募っていた。しかし人間というのは不思議なもので、数週間もするとそんな日常にも慣れ、イライラは募ることもなく僕は再び眠りの中へと落ちていくことができるようになった。 ただ困ったことに僕は今新たな目覚ましに悩まされている。 扉の向こうの雑音には順応したのだが、窓の向こうの雑音はまだ残されていた。 1つ解決したら新たな問題が出てくる。世の常か。 迫り来る壁に、社会は常に乗り越えていくことを求めるものだ。
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