別れ

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「別に送ってくれなくても大丈夫なのにー。」 私はそうこぼした。 だって、方向違うのにわざわざ送ってもらうのは申し訳ない。 しかもまだそんなに暗くないし。 「いーんだよ、俺が送りたいだけだから。」 翔のくせに珍しく優しいことを言うから、私はなんて返したら良いのか戸惑ってしまった。 「…なに?惚れちゃった?」 翔がにやっと笑いながら、私の顔を覗き込む。 私は思わずドキッとしてしまった。 こんなの、ずるい。 翔は性格こそこんなだけど、顔は整っていて女の子によくモテる。 そんな顔が近距離にあれば、どんな女の子だってドキッとしてしまうだろう。 「残念、惚れてません。」 私はドキッとしたのが少し悔しくて、翔のほっぺたをつねってやった。
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