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「いててっ」
翔は私から距離を取り、恨めしそうに私を見ながら頬をさすっている。
私は赤くなった顔を見られないようにそっぽを向いた。
もう少し辺りが暗ければ顔色なんて見えないのに…
ちょっとだけ太陽を恨む。
「…なーんだ、残念。」
ぼそっと呟かれた言葉にまたドキッとしてぱっと振り返ると、翔の表情は良く見えなくて、どういうつもりで言ったのか分からない。
もう少し明るければ…なんて、さっきと真逆のことを考えてしまう私。
結局ちょっと気まずい空気が流れたまま、私の家の前まで到着した。
門の前で振り返って翔にお礼を言う。
「送ってくれてありがと。
翔も気をつけて帰ってね。」
「あぁ、じゃあまた明日。」
翔はひらひらっと軽く手を振って帰って行った。
私はしばらく翔の遠ざかっていく背中を眺めていた。
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