第1章

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『――目覚めよ』 暗闇の世界の奥から、声がした。 聞き覚えのない、威厳を多分に含んだ声。 『――目覚めよ』 同じ声、同じ抑揚で、同じセリフが繰り返される。 ――もう少し、この暗闇の世界に身を投じていたいのに。 わずらわしさを感じつつも、同じセリフのリピートを延々と繰り返されたくない僕は、渋々目を開き、暗闇の世界から光溢れる世界へと足を踏み入れた。 真っ先に目についたのは、前にある玉座にどっかりと座って王冠をかぶり、赤いマントを身にまとう、見るからに偉そうな人。 状況が分からない僕は、辺りを見回す。 すると、周りにいる武器を持った人達が低い歓声をあげる。 「……成功したようだな」 成功?何の話? 訝しがる僕をよそ目に、目の前の人は話を続ける。 「呼び起こしてしまって、すまないね。どうしても君の力が必要――」 「あの……」 無礼かな、とは思った。でも何より聞かなきゃいけないことがある。 なので僕は、混乱してる頭を整理するように、目の前の人に尋ねた。 「あなたは……僕のことを知ってるんですか?教えてください、僕は誰ですか?ここは、どこなんですか?」 全然記憶がない。 名前とか、今まで何をしていたのかも。
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