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今日、また新しいことを知ることができた。
だけどそれはまだ疑問が残るものだった。
私はなんで展望台に行ったんだろう。
紫葵くんとなにがあったんだろう。
そのほかにもたくさん知らないことはあるはずなのに、そのことばかり考えてしまう。
夕方、お母さんがお見舞いに来てくれた。
「麗、今日はいろんなアルバムとか思い出の品を持ってきたよ。ママね、昨日麗が記憶を失ったって言われて本当にショックだったけど、何よりもあなたが生きていてくれて本当にうれしかったの。だから、一緒に頑張ろう!これ見て、少しずつ思い出していこうね。」
「お母さん…。」
「…っ、そうだ。前呼んでたみたいに“ママ”って呼んで?きっと感覚が取り戻せてくるはずだから。」
「…わかった、ママ。」
「うん、その調子!」
「お父さんは…?」
「まだお仕事だから、来るとしたら夜かな?」
「そっか、そうだよね」
「そうよー!お父さんのことも、“パパ”って呼んであげてね。きっと喜ぶから」
「わかった。」
「うんうん!じゃあ、アルバム一緒に見ようか!」
「…うん!」
そういって、赤ちゃんの頃から今までのアルバムを見た。
このときはこうだった、などの思い出話を聞きながらだったため、気がついたら夜7時、夕食の時になっていた。
夕食を持ってきたナースは、お母さんがいらっしゃるならお任せしちゃいますね、といって出て行った。
ご飯を食べた後も続きのアルバムを見て思い出話を最後まで聞き、思い出す感覚はなかったがこうだったんだと知ることができた。
少したった後、お父さんがお見舞にきてくれて、お土産にクマのぬいぐるみを買ってきてくれた。
ママの言うとおり「パパ」と呼ぶと、照れくさそうに笑った。
その後も他愛のない話をして、きっと前もこんな感じだったんだろうなと思った。
消灯の時間になり、ふたりは帰って行った。
もう寝なくてはいけないとわかっていても、先ほどのアルバムをもう一度見てしまっていた。
いつか、このアルバムよりも思い出を取り戻すことができるのだろうか。
そんなことを思って不安になるけど、星苑の「大丈夫」という言葉を思いだして少し安心した。
そして、静かな眠りにゆっくりとはいっていくのであった。
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