第1章

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携帯の画面を見ると。 『さわぐな。そして、うごくな。さすればしよけい。』 と書いてあった。 「…えっ!」 一瞬わけのわからなかった酒井は、声が出てしまいそのまま固まった。 ーなんだ?なんだなんだ?ー 続けて男が文字を打ち込み、こちらに見せてくる。 『マスクトレ 』 そう書いてあるのでマスクをアゴまで下ろす。 『うごくな。うごくところす。』 などと続けるので動かずにじっとする。 するといきなりカプセルのようなものを両方の鼻に突っ込まれる。 イヤホンからはジャズのリズムが流れるが、それに合わないリズムを肩が刻む。 まさか!そんなまさかね、で、何コレ?といったような思考を正常に身体が保ちたがって震えている それになんだこいつは…。 いきなり人の鼻にカプセルを突っ込みやがり…ま、まさか…。花粉とか入ってないよな…そして。 (こいつの目的はなんだ!) (なんなんだ!) 酒井「…あ、あのー」 『それいじょうこえをはっしたらおまえのいのちはない、いみわかるか、しぬんだが、いみわかるか』 酒井は、恐怖におののいた。 (なんで?なんで電車のたまたま横に座ったやつが俺を殺すだなんて…いやいやいや俺は家に帰るんだ!帰るんだよ!) さらに男は文字を見せてくる。 『そのはなのかぷせる なかみはなかみわ。 なかみは プププププププププププププププププププププ』 酒井は、言いようのない恐怖に身を震わせた。 読んでる最中に家の駅から4つ離れた駅に着く。 (だ、誰か…このやばい状況をわかってぇ!) 目が血走る酒井は動けず目だけギョロギョロとすると、斜め前にダルそうな手首でスマホをいじる色白の女と目があう。 (オレ、オレ…!今とってもやばい状況なんだよ、家族がいる!き、気づいて!気づいて!早く!) また、男が無音でスマホをフリックし、こちらに見せる。 画面と顔を交互に見た。 口角が上がって見開いた目のその顔は完全に視点が飛んでて薬物をやってそうな顔だった。 画面には。
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