父の香り

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 (どうすんのよ、これ)  しばらく悩んでいたが、急に頭の中で、ある漫画のコマが思い浮かんだ。  (なんだっけかなぁ、なんだっけかなぁ、あ! 思い出した! そう、そうキャバクラの女が、はじめての客に名刺を渡す時、こんなサービスをするんだわ。これは浮気なんかじゃない。たぶん接待で初めての店にでも入ったのよ)  母親の様子を伺うと、まだ気づいてないらしく、普段と変わらない様子で牛乳を温めてくれているようだ。  そこで彼女は制服のポケットに入れて隠蔽したが――ふと、(幽霊みたいなオヤジの片棒を担いだんだよ、どうすんの、責任とれるの?)  そんな迷いが生まれた。
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