父の香り

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 (NOかYESといえば、そんなのわかんない)  そう、今の時点では黒でもあり白でもあった。  (たぶん燃やしたのは昨日の晩だよね、まったく家で燃やしてどうすんの、普通は外で燃やすでしょうよ、いや待て!」  と、美子は、あることに気がついた。  (それならリビングは焦げ臭かったんじゃないの、換気扇して音をたてたら、お母さん起きちゃうだろうし……。ヤバイ! 超ヤバイ! だったら、もうバレてるじゃん!)  「はい、お待ちどう」  母親が運んできたのは、温めたコーヒー牛乳だった。  「うん、いただきまーす!」  そう平静を装って返事しながら、美子は(こりゃまたタイムリーな飲み物だこと、こげ茶じゃんか……。見逃したんだろうか?)  などと母親の心理が読めず、美子はユラユラとヤジロベーになったような気分のまま、ほんのり甘いコーヒー牛乳で喉を潤した。                                            了
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