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◯とんかつ『かつじ』 外観
多くのサラリーマンが並ぶ入口。
入口上に『かつじ』の文字。
◯同 中
満席の店内。OLの制服姿でとんかつ定食を食べている城島マキコ(30)と島田陽子(30)。
マキコ、ご飯を食べながら、
マキコ「もー仕事なんかしたくない、早く結婚したいー」
陽子「でた、もう聞き飽きた、それ」
マキコ「そうゆうあんたはどうなのよ、陽子」
陽子「私はいい、結婚なんて仕事に生きるから、まぁマキコんとこみたいに有望なら話は別だけど、酒蔵の息子でしょ?有名な」
マキコ「さあね、本人継ぐ気ないみたいだし、それに最近なんか冷たいしさー」
陽子「それって3年目の危機ってやつ?」
マキコ「違うよ、学生のころからだからもう、7,8年?」
陽子「えっ!長っ!」
マキコ「それに、実は今まで働いたことがない」
陽子「えー!それってヒモってこと?」
◯アパート マキコ宅 玄関前 (夜)
買い物袋を持って一階の玄関ドアを開けるマキコ。
◯同 玄関 中 (夜)
キッチンと居間が別の1Kの和室。玄関を開けるとすぐに台所。テーブルがある。リビングとの間に曇りガラスの戸。
玄関から入ってくるマキコ。テーブルに買い物袋を置きながら、
マキコ「遅くなってごめーん、今ご飯作るね」
マキコ、流しで鍋に水を入れ夕食の仕度を始める。居間から気のない保の声で、
保の声「おかーえりー」
一瞬動きが止まるマキコ。
マキコ「今日はー、何してたぁ?」
保の声「べつにー」
一瞬動きが止まるマキコ。
マキコ「そっか、外寒いもんねー、じゃあ洗濯は?やってくれた?」
保「いやーやってない」
動きが止まるマキコ。
マキコ、蛇口から水を出したまま、流しに鍋を叩きつけ居間に向かう。
寝っ転がってタバコを吸いながらテレビを見ている安藤保(28)。
マキコ「一体なんなの?私ばっかり働いて、家にいるならちょっとは家の仕事してよ」
保「無理そういうの、だって俺ヒモだもん」
マキコ「無理とかそういうんじゃなくって」
佐藤の声「あのー」
マキコ「ちょっと黙ってて、それにさ」
佐藤の声「あのー」
マキコ「なにようるっさい、今保と話して・ ・・えっ?」
佐藤の声がする方向を向くマキコ。
ニコニコして座る佐藤誠(25)。
マキコ「保、この人誰?」
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