ピンポンダッシュ

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 今日は朝は晴れていたが、途中で空模様が怪しくなり、午前中の一件が終わると同時に雨が降り出した。通り雨らしく昼過ぎには止んだが、雨の影響で門の前には小さな水溜りができていた。位置的にも大きさ的にも回避は不可能で、チャイムを押しに近づけば、その人物は少なからずこれを踏む状態になっていたのだ。  実際、その水溜りから子供のものらしき足跡が道路へと伸びていた。しかし私も妻も人の姿は見ていないし、何よりも、そこそはっきりしていた足跡は、道路の真ん中でぷつりと途切れていたのだ。  ここで靴を脱いだ? だがそんなことをしていたら、チャイムの音を聞いて外へ飛び出した妻に確実に見つかっているだろう。  だったらイタズラをした犯人はどこへ行ったのか。あるいは、イタズラをした犯人は、本当にこの世に存在していたのだろうか…。  何とも薄気味の悪い足跡だけを残し、姿を消したイタズラ犯。幸いにも、これ以降、ピンポンダッシュのイタズラは行われなくなったが。今でも夫婦して、普通の訪問者が呼び鈴を押すだけで身構えてしまう。  …チャイムの音を変えるべきだろうか。 ピンポンダッシュ…完
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