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冷たく黒い液体は、
少しずつ蒸発しているようだった。
黒い液体から右足を抜いた凛唯は、
立ち上がって部屋の電気を点けようとする。
しかし、部屋の電気は点かなかった。
携帯を探して机の上を探ると、
ペンやノートが床に落ちた。
やっと見つけた携帯も、電池が切れていた。
「え?ホントに?
充電しておけば…あぁ。お母さーん!?」
大きな声を出した凛唯は、
長い黒髪を手で整えながら部屋を出る。
クシュンッ
凛唯はくしゃみをした。
ドアの取っ手も壁も
埃まみれだからだと彼女は思った。
夜中だろうと思いながら凛唯は、
カーテンの閉まっているリビングを見回す。
テーブルや棚が倒れているのを見て、
凛唯は冷や汗を掻く。
「え?何が起こったの?泥棒?」
リビングの電気もテレビも点かなかったので、
凛唯は頭を捻る。
「嘘…やば……。
何なの?誰かいないの?」
ガタッ…
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