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「なあ、炎(えん)、知ってるか?学校の怪談、"六番目の怪人"の話」
「知らない。それが何なの?」
俺は、またか、と鬱陶しく思いながら、クラスメイトのくだらない話を聞いてやるそぶりをする。
「欲望を満たすために五人の人間を殺して、最後は自分をいけにえにして神様に赦しを請うっていう、いかれた怪人のことだよ」
「ああ、そう。何か、ありがちなようで深い精神論がからんでいるようなチープな話だね」
「チープ?まあ、確かに」
そう言ってクラスメイトは笑う。
そう言えば、こいつ、だれだっけ?
俺はそうおぼろに思いながら、大きく一つあくびをする。
涙でにじむ眼でクラスメイトがいた場所をみやると、彼はもう別の場所にいて、同じ噂話を他のやつらに聞かせているようだった。
「くだらない…」
俺はそうつぶやいて机に突っ伏す。
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