六番目の怪人

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俺がいるこの場所は、日向小学校5年1組の教室。 くだらない話を好むやからどもの巣窟だ。 その時、チャイムがなり、一時限目が始まる前の"儀式"の開始時刻を告げた。 生徒たちは一斉に自分の席につく。 「服薬の時間です。コップに水を汲んでいない人は汲んできてください。もう汲んできた人は、薬袋を机の上に出して静かに席についていてください」 俺はおもむろに立ち上がり、コップを右手に廊下にでる。 どうやら水を汲んでいないのは俺だけのようだ――と思ったら、あと一人だけいた。 小学五年にして金髪ピアスの、ごりごりの不良、響(きょう)だ。 俺たちは言葉を交わすことなく無言でコップに水を汲み、教室に戻って席につく。
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