六番目の怪人

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「では、窓際の子からいきますから、全員がすむまで、静かに席についているように」 担任の桑野が、そう言って名簿をもって窓際の一番前の席に歩みよる。 窓際の一番前の席の女子が、机の上の薬袋から、ボタン電池ほどの白い錠剤を一錠出し、それを口にふくんでコップの水で胃に流しこむ。 小学生にはかなりきつい大きさだ。 その女子生徒は、飲み込む瞬間、薬と喉が生む摩擦に顔をしかめる。 少しして、女子生徒は口を大きく開き、中に薬がないことを桑野に示す。 桑野はそれを確認して、女子生徒の薬袋と自分の名簿にチェックを入れる。 それ以降はその繰り返しだ。 俺の番がきた時、桑野はわずかに不快な表情をしたが、すぐに鉄仮面にもどって、俺が薬を飲んだことを確認して、後ろの席に進んだ。 最後は、響だった。
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