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三年目も終わりかけた十二月の夜。
私は再び夜の公園で男に出会った。
痴漢の男とは違い、高級そうなスーツに身を固めた男だった。
綺麗にオールバックにした男は私を見て、懐かしそうに声をかけてきた。
「ザンディーア、こんなところにいたのか」
男は奇妙な名前で私を呼んだ。
「どなたかとお間違えでは?」
私の顔はどこから見ても日本人で、ハーフにも見えない。
男は眉をひそめて、一歩近づいた。
「何があった? その生物に寄生してから連絡もよこさずに」
私は後ずさりして、逃げようと身構えた。男が慌てた様子で、手を差し伸べた。
「まて! 逃げるな。ようやく見つけたんだ」
「お手をわずらわせることはないですよ。放っておいてください」
「どうした? 私が分からないのか? ゴルティヅだ」
「そんな変な名前の知り合いはいなません」
「すべて忘れてしまったのか。一度船に戻った方がいい」
男が私の左手首をつかんだ。
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