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昨年の春からヨガ教室に通っているFさん(39歳・女性)。
二度続けてクラスを欠席したので、体調が良くないのかと心配でしたが、昨日お菓子折りと吉報を携えて来られました。
「おかげさまで、妊娠しました!」
色白の丸顔が喜びに紅潮し、つややかな輝きを放っていました。
25歳で結婚されて以来、子宝に恵まれず、35歳から不妊治療を受けられていたたそうですが、「コウノトリに嫌われているらしく・・・」。貯金も底をつき、辛い治療にピリオドを打ったFさん。それとほぼ同時にヨガを始められたのは、妊娠を期待してというわけではなく、4年に及んだ不妊治療によって疲弊した心身を癒すためでした。
ところがヨガを初めて1年で、〈棚からぼた餅〉のような予期せぬおめでた。出産予定は来年の2月だそう。私にとってもヨガ教師冥利につきる喜び!帰宅後、一人で乾杯を繰り返しました。
実は、Fさんのようなケースは珍しくありません。諦めていた子宝をヨガを始めてから授かったという方は、沢山いるのです。
骨盤内部の血行を促進し生殖機能を高める数々のアサナ(ポーズ)による効果もさることながら、ヨガで得られるリラックス状態が大きく作用していると思われます。
欲しくても得られないものに固執し、悲しみ、失意、怒りといったネガティブな感情に心を覆われていた人が、瞑想や呼吸法で心を調え、無心になって体を動かしているうちにふと、「いいじゃない、これで・・・」「今のままでも十分幸せ」といった境地に至ります。心が柔らかくなり、自然に笑みがこぼれ、現状を静かに肯定できるようになります。
――コウノトリが音もなく近づいてくるのは、そんな時――
受胎の神秘が、単に〈産む性〉と〈産ませる性〉の欲望と交合から生じるのではないこと。男女の肉体を超えた彼方で生じる出来事であるのを、私達は本能で感じることができるのではないでしょうか。親子のつながりの背後には〈天の配剤〉が絶妙に働いていることも・・・。
あるがままの自分を愛し、今を幸せに感じられるようになると、人は通過儀礼を終えたように喜びの波動を放射し始めます。それが宇宙に伝わり、天界の「親の候補者リスト」の上位にノミネートされるのかもしれません。
生命の神秘を理解しているFさんなら、肩の力を抜き、子育てと〈自分育て〉を楽しんで続けられることでしょう。
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