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かつて南米諸国でボランティア活動をしていた経験を通して、私はヨガの大きな可能性に気づくことができました。どんな厳しい状況下でも、ヨガには「出る幕なし」ということがありません。災害の被災地、極貧地域、都市のスラム、麻薬・アルコール中毒者の治療施設etc・・・。世界のいたる所に形や方法を変えながら入り込んで貢献できるスペースがある。人々の生活と心に根を下ろす力がある――言い換えるなら、人間が存在する所すべてに、ヨガの存在理由があるのです。
まずは、未来を担う子供達のことから――。
ボリビアにいた頃、多くの子供がコレラに感染して命を落としました。コレラは本来、栄養を摂り静養していれば自然に治癒する病気ですが、栄養失調気味で体力がない子らに感染症は致命的なのです。医療は高額で手が届かない所にあり、〝罹患したら終わり〟という諦めの意識がいっそう抵抗力を弱めます。
病気に対し、後手に回るのではなく、罹らないよう先手を打つ――すなわち予防が何より大事と痛感しました。
大気感染する病気の場合、呼吸法で大半を防ぐことができます。〈鼻呼吸〉はその基本中の基本。字の読み書きより先に、〈息の仕方〉を子供達に教えることが急務でした。鼻で呼吸することにより細菌の8割は除去され、体内に侵入しようとする有害なものをシャットアウトできます。また吸い込む空気の温度も調節され、加湿されて体内に入るので、酸素の吸収も良くなります。結果、免疫力が高まり、病気に感染しにくくなるのです。
インドでは「口は食べるため、鼻は呼吸するため」と役割をはっきり区別して子供達に教えていますが、他の国々はそこまで意識が向かないようです。
空気は口から吸い込まれると、直接のどの粘膜に触れ、扁桃腺を乾燥させます。免疫力を低下させ、白血球の力を弱め、花粉症、アトピー性皮膚炎、リウマチ、喘息などに罹りやすい体内環境を作ります。
ちなみに日本は、小学生の8割、そして大人の約半数が口呼吸を行っているという調査結果があります。まずは大人が正しい呼吸を身につけ、次世代に伝えていかなくてはなりません。鼻呼吸で吸気は濾過され、感染予防になるのは明らかなのですから、子供達には上手く教えて定着を図りたいものです。
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