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あの事件から数日後、私は今まで通り変わりなく過ごしていた。あえて言うならクロさんのお店に通うようになったぐらいだ。
クロさんいわく
「こないだ助けた分バイトして返せ」
とのことらしい。すべてお姉ちゃんから聞いただけなんだけども…
そんなこんながあって今日からバイトすることになった。
「じゃあ行ってくるねー」
「ちょっと待って!これ持っていってちょうだい」
玄関でお姉ちゃんから手渡されたのは茶色い籠のバスケットだった。
「向こうでクロたちと食べてね、多分まともなもの食べなさそうだし」
「はーい、それじゃあね」
バスケットを受け取り私のバイト生活が始まるのだった
家を出て数分、街は相変わらず賑わっている。
あの日の夜、お姉ちゃんにクロさんについて色々と教えてもらった。
クロさんは私のお父さんとの冒険仲間だったらしい。ある日たまたまパーティを組んだら意気投合して今でもたまに会っているそうだ。
お姉ちゃんは前に会ったことがあるらしく歳も近いためほとんど兄妹みたいな感覚なのだそうだ。
でも、よくよく考えてみると色々と辻褄が合わない。お父さんはもう50代、冒険者をしていたのはもう三十年も前のことだ。
お姉ちゃんは私の2個上。そのお姉ちゃんと仲良くしてたってことはもう30代以上のはずなのに見た目は20代前半にしか見えない
お父さんもお姉ちゃんも気にならないらしいけど私は何故か胸の奥でもやもやとこのことだけが残っていたのだ
詳しいことは今日聞いてみるつもりだ。普通はこんなこと、あまり聞くもんじゃないんだけどね
大通りの角をひとつ曲がると見慣れた店舗が姿を現した。
「ニャニャーン!おはようなのにゃ」
店の前では黒いパーカーを着た同い年ぐらいの女の子が箒をもって出迎えてくれた
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