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「お使い?」
「そう!お使いよ。そろそろ薬草の在庫が切れそうなのよ、あと聖水もね。だからお使いに行ってきてちょうだい」
「えぇー…私これからレポートまとめなきゃいけないんだけど…」
「マーイー?お姉ちゃんの言うことぐらいきちんと聞きなさい?そんな事じゃ彼氏もできないわよ?」
マイ「うるさいっ!分かったよ…場所は?」
「ふふふ♪聞き分けのいい子は大好きよ。今地図を書いてあげるわ」
マイ「分かったー、じゃあ準備してくるねー」
ガチャッ
マイ「はぁ…」
私は自分の部屋の扉を開けた。お姉ちゃんの言いつけにはやっぱり逆らえない。姉パワー恐るべし…
マイ「えっとー、髪よし!服よし!後は財布っと…」
鏡の前で一つ一つ確認をしていく、小さい頃からの習慣だ。最後にお気に入りのベレー帽を被る。
「マイー!地図書けたわー!早くおりてらっしゃーい!」
マイ「はーい!」
お姉ちゃんの催促を聞きながらベレー帽を押さえ、扉を開けると階段をドタドタと降り始めた。
「うるさいわよー、女の子はもっとお淑やかにしないと」
マイ「お姉ちゃんが催促したんでしょ…。んで、地図は?」
「はいはい、これよ。この赤丸のとこ」
渡された地図には大通りの隅に大きな赤丸が描かれている。
マイ「えっと、薬草と聖水だっけ?どのぐらい?」
「このお金で買えるだけ買ってきてちょうだい」
手のひらにズシリと重みが伝わる。小袋には金貨が十数枚入っていた。
マイ「えっ…こんなに…?」
ニッコリと笑ったお姉ちゃんは笑顔のまま親指をぐっと立てた。
マイ「はぁ…いってきます…」
私は憂鬱な気分になりながら家のドアを開けたのだった
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