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カウンターの奥からぬっと姿を現したのは黒いコートに身を包んだ若干天パで茶髪の少年だった。歳は私と同じくらいかな…?
「いらっしゃい、アンタ客だろ?」
少年は私にびしっと指を指した。
アイ「は、はい。薬草と聖水をお願いします。これで買える分だけ」
少年に預かっていた金貨を全て渡し、チラッと顔を見た。目の近くに斬られたような傷がある。それでも整った顔立ちをしている
「ほー、ここまでまとめ買いするってことはガイさんのとこから来たのか、アンタ。」
アイ「お父さんのこと知っているんですか?」
「まぁな。昔の馴染みって奴だ。薬草と聖水だな?おい、バカアリス。手伝え」
『にゃんだって!?私に手伝わそうなんて十万年早いにゃ!』
「んな事言ってるとメシ抜きにすんぞ」
『アリスにおまかせをー!!』
アリスは素早い動きでお店の奥に消えていってしまった。
「そういやアンタ、ガイの娘か?」
アイ「は、はい。アイって言います。よろしくお願いします」
「ほぉ……」
少年は私の名前を聞くなり、ジロジロと顔を見始めた。
アイ「な、何でしょう…?」
少年はにやっと笑うと言った。
「お前、バイトになれ」
アイ「は、はいぃ!?」
あまりにもいきなりだった為、声が裏返った。
アイ「ちょちょちょ!ちょっと待ってくださいよ!何でまたいきなり!」
「ん?面白そうだから」
アイ「そんな簡単に言わないでくださいよ!バイトって…」
「もちろん払うもんは払うぞ?時給これでどうだ?」
少年は指を5本立てる
「それは銀貨5枚って事ですか?」
「いいや、金塊5個」
「は、はぁ!?」
指し示された金額に目が点になったかのような顔になった。金塊5個ってことは金貨4000枚位の価値よね!?
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