第15章

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1番最後に取っておいた線香花火が尽きた頃。 ふと空を見たら、思った以上に星が綺麗でテンションが上がった。 花火とかの人工物より、やっぱり空で輝く自然の明かりたちの方が私には好みだった。 「あ!流れ星!!」 「え!?うそ!?」 私が見つけた流れ星に、星空が好きなショウヤ君がまた反応した。 「ほら!あそこらへんで流れたの!また次くるかなぁ?……あ!流れた!…流星群でも来てるのかな?」 「まじ?俺見逃したぁ〜!」 悔しそうなショウヤ君に少し笑えた。 「横になってみちゃお。」 タオル生地の白いパーカーのフードを被って寝転がった。 「いいね!俺も横になろ!」 すぐ真横に横になるショウヤ君。 ち…近い…。 ドクン…ドクン… と、まるで緊張してるかのような自分の心音。 「あ…マサもこっち来たら?」 スマホを眺めてるマサに反対側に来るよう促した。 「今日、ペルセウス座流星群きてるんだって〜。いま調べた!」 そういってにっこり笑ってマサは私の横にきて寝転がった。 「フミトもくれば〜?」 「いや、だから俺寒いんだって。」 ショウヤ君の声にフミトが笑いながら答える。 「そうだったね。でもそこに居たら丸焼きになるよ。」 「誰が白豚じゃ!」 ショウヤ君とフミトのやり取りに横になってる3人で大声で笑った。 あぁ〜なんだかんだで、最高に楽しい夏休みを過ごしてる。 日中の熱を帯びていた砂も、表面はもう冷たくて、少し寒いくらいだったけど、ショウヤ君とマサの体温に暖められている気がした。 マサ…マサ……マサ………私の彼氏…。 ショウヤ君にたいして、こんな浮ついた気持ちを持ってる私でも隣に居て良いのかな。 マサの体温をまだ感じていていいのかな。 マサはこの気持ちを聞いたらどんな反応をする? 怒る?嫉妬する?離したくないって思ってくれるのかな? それとも、それなら仕方がないって簡単に諦めるのだろうか…。 できれば、こんな私でも、少しくらい興味を持ってくれてるなら嬉しいな。 興味のない顔はされたくないよ。 だってそれじゃあ、結局最後の最後までマサの中には『あの子』が残っていたことになるじゃない。 もしそうだったら、高校3年生の、今よりもずっと奥深くでマサを信用していて、この人以外居ないって…全てを捧げる覚悟をした、何よりも1番マサが好きだった私が。 今までグチャグチャと悩んできた私自身が、最後まで本気で愛されてすら居なかっただなんて、惨めでしょうがないじゃないか…。 ショウヤ君の存在で、今までの私よりもマサがグチャグチャに悩んでくれたら良いのにな。 初めて自分を知った。 ショウヤ君を好意的に見て、ショウヤ君が好きになってくれたらだとか、その癖ショウヤ君の存在でマサからの愛の有無も知りたい、愛されたい、ちゃんと愛されていたい。 今まで思ったよりも恋愛関係に淡白だと思っていた私がそんな言いようのない強欲さを持っていたなんて。 これは、なんだろう。 プライド…なのだろうか。 でも少なくとも『愛されたい』の前に、マサのことが好きで好きで堪らなかった自分が居たんだ。 独占欲に愛されたいという渇望。 汚い。 グルグルと渦巻く、自分の欲深さ…。 きっと、私は私が思っているよりもどこまでも欲深くて真っ黒な汚い人間なんだろう。 きっと、裏切られた時に悲しくて、苦しくて、苦しくて…喉が潰れそうな感覚になるアレは、文章で表すのなら…『喉から手が出るほど欲しい』…。 そういう欲深さなんだ。
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