カワイイ俺のカワイイ調査

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今更だが、"連絡先を教えてはいけない"というこの店のルールは破っていないとは言え、外部で個人的に客と接触するのはセーフなのだろうか。 気にはなるが、俺も個人的にカイさんに接触した件があるので、黙っていた方が無難だろう。 拓さんならカイさんから聞いている可能性もあるが、一応、こちらから話題に出すのは止めておこうと考えながら、カウンターの向こう側へ立つ拓さんの元へ歩を進める。 「今日も気合バッチリだね!」 さながら洋画に出てくるバーのシーン。 俺のつま先からてっぺんまで視線を走らせながら口笛を吹く拓さんに、小首を傾げて「カワイイですか?」と返す。 「もっちろん! あ、でも、そのスカートで外大丈夫だった?」 「風、強かったでしょ?」と外を指さす拓さんに、「ええ、まぁ……」と頬を掻く。 朝は至って穏やかな気候だったのだが、昼過ぎから一変し、風がビュンビュンと唸り声を上げているのだ。 天気予報を確認しなかった俺が悪い。 強風になるだなんて微塵も頭になかった俺は、今日のエスコート用にと新調した太腿丈のスカートを"着替え用"として持って出ていたのだ。 「正直、失敗しました。なんとか抑えて来ましたけど、まぁ、下に見えていいやつ履いているんで」 チラリとスカートの裾を上げ、中に着用したレースの"見せパン"を覗かせた俺に「うぁおユウちゃん大胆!」と慌てて拓さんが目を覆う。 「ダメだよそんなはしたない! ホイホイ安売りしちゃいけません!!!」 「はぁ……」 別に男だし、ショートパンツを履けばこれくらいの露出は普通にあるしで俺としては何て事ない(安売り? しているつもりもない)のだが、「早く隠しなさい!」と喚く拓さんにそっとスカートを戻す。
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