カワイイ俺のカワイイ調査

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その様子を指の間から確認し、「もーホント頼むよユウちゃんー……」と疲れたように受付デスクに突っ伏する拓さんに、疑問符だけが飛び交う。 いやいや、過剰反応しすぎだろ。 「あーでも、スカート丈って言えばオレはどっちかっていうと清楚なお嬢様系のが好み。前に着てたよね?」 「あ、はい。一応、色んな系統持ってるんで」 「さっすが。あとこの間腕が透けてる素材の服見かけてさ。いいよね、シースルー。あ、ノースリーブも捨てがたいけど! そんでスカートは膝のちょっと上か隠れるくらいがベスト」 「ミニは嫌いですか?」 「いやー、嫌いじゃないけど、なんか目のやり場に困るっていうか。その太腿はオレのモンだ! ってのもあるし。下は隠して上出てるくらいが安心カワイイ」 「……何の話してるんですか」 カツリと鳴った床と、低く響いた声。 (っ、カイさん) カーテンを手で避け現れた想い人に、バクリと大きく心臓が跳ねる。 不機嫌顔で拓さんを見遣るカイさんはそんな俺の動揺など気付かずに、その視線に縮まった拓さんも同じく気づかないまま「ヤッバ」と頬を引きつらせる。 「全く、先輩に頼むと全然進まないじゃないですか」 「いやー、ゴメンて」 「今度からユウちゃんが来る時は、オレもここで待ちます」 「え、嘘!? ダメダメ、一緒にお出かけ出来るカイとは違って、オレがユウちゃんと話せるのは最初だけなんだから!」 慌てふためきながらパソコンとレジを叩いた拓さんに息をつき、財布を取り出す俺に視線を移すとカイさんは申し訳無さそうに「ゴメンね」と零す。 手のかかる先輩に頭を悩ます後輩。 どことなく保護者のような空気感を纏うカイさんは、いつもよりも大人な表情を滲ませる。
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