カワイイ俺のカワイイ調査

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「……由実にはね、悠真を頼らないで自力で頑張れって言ってあるんだ。他の子達も同じ状況で頑張ってるんだから、一人だけズルしようとするなって」 「なっ、聞いてないぞ……っ!?」 「悠真はすっかりやる気だったから。あいらちゃんと話し合って、暫く黙ってようって」 告げられた真実に、開いた口が塞がらない。 時成も、知っていた?  由実ちゃんの問題は、最初から存在しなかったのだと。 「時成のヤツ……悩んでた俺が馬鹿みたいじゃねーか……!」 "幼馴染"で"親友"というポディションである俊哉に遠慮したのだろうが、せめてそれだけでも先に言えよ! と歯噛みする俺に、俊哉はやはり落ち着いたまま。 「悩んだの?」 と、不思議そうに尋ねてくるもんだから、 「ったり前だろ!? 由実ちゃんを悲しませるワケにはいかねーし、かといって諦めるなんて言ったらお前にもっ」 勢いにそこまで吐露してから、しまった、と口を噤む。 お前にも心配かけるし、悲しませるだろーが。 そんな台詞を面と向かって言える程、俺は気障じゃない。 けれども不自然に言葉を切った事で、いつもなら察しの悪い俊哉にもそんな内情が伝わってしまったのだろう。 「ありがとう」と照れくさそうに、それでいて嬉しそうに笑む俊哉に、羞恥から耳まで熱が登るのを感じる。 「と、とにかく! 俺はお前らに体良く踊らされてたってコトかよ」 「うーん、どうだろ? そんなつもりは無かったけど、結果としてはそーいうコトになるのかな?」 「でも、」と。 俺の顔色を伺うように、俊哉は首を傾げてみせる。 「本当のコトを言ってたら、悠真はカイさんに会おうって思わなかったでしょ?」 「まぁ、そうだけど」 「そしたら"好きだ"って思える人を逃してたってコトだし。これも、結果としては良かったんじゃないのかな」
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