カワイイ俺のカワイイ調査

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「不安、だけですか?」 「え?」 「カイさんがご機嫌斜めなのは、その、"不安"だけです?」 問い詰めるように畳み掛けるのは、別の言葉を引き出したいからだ。 カイさんも感じているだろうに、敢えて口にしない言葉。 それは多分、"不安"よりも明確だからこそ、避けている。 戸惑うカイさんにニコニコと笑みを向け続けていれば俺の意図に気づいたのか、「……ユウちゃんは意地悪だね」と観念したように呟いて、カイさんはそっと視線を逸らす。 「嫉妬、してるよ。オレだけ見てればいいのにって」 (あーもう本当カワイイかっこいい……っ!!!!!!!) 照れながらも拗ねるように言うカイさんに、ビダンッ! と机を叩きたい気持ちを必死に抑え、両手で顔をそっと覆う。 別に、ドSだのヤンデレだのに興奮する性癖は持ち合わせていないが、こうして想い人からの執着には心ときめくのだから、本当に恋とは盲目である。 冷静な部分が「愚か者」と罵倒する声が聞こえるが、感情と理屈は別物だ。 緩む頬を必死に堪えながら、しっかりと記憶に留める。 コレだって、"サービス"の一つなのだろう。 わかっている。わかっては、いるけども。 "自然"だと思えるのは、恋に曇った俺の欲目なのだろうか。 「……ねぇ、カイさん」 「ん?」 「僕が、拓さんや里織さんと仲良くしてると、嫉妬するの?」 「……そうだね。こんなの、迷惑だって、わかってるんだけど」 「迷惑なんかじゃない。……全然、迷惑じゃない」 心の底から竜巻のように緊張と興奮が湧き上がってくる。 強く胸を打つ心臓は、そろそろ壊れてしまうんではないだろうか。 握りしめた両手が熱い。 「……カイさん。俺は--」 「はーい、おふたりさん! お待たせいたしましたっ!」 「っ!」
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