カワイイ俺のカワイイ調査

28/32
前へ
/238ページ
次へ
女の子はアレくらいでは、"勘違い"などしないのだろうか?  それとも、"俺"なら大丈夫だと踏んでの上なのだろうか? それなら読み違いもいい所だ。 現に今のHPは、爪楊枝よりも細い。 「カイのお皿とか、下げちゃうね」 「……吉野さん」 いつもの調子と変わらない声に、のそりと顔を上げる。 さすが下の名呼びの友人なだけある。 吉野さんにとっては先程のカイさんの"攻撃"など、取るに足らない"通常"なのだろう。 「なんなんですかカイさんって天然タラシなんですかこれまで一体何人が倒されてきたんですか」 一息に言い切った俺に、吉野さんが目を丸くする。 「ありゃ、こりゃまた随分とダメージが大きいみたいね」 「もう立ち上がる気力すらありません……」 「たったの三十分でしょ? そんなへこたれててどうするの!」 パシリッ! と勢い良く背を叩かれ、「いっ!?」と反動で起き上がる。 「あ、ゴメンね」思わず、といった調子で謝罪を口にした吉野さんは、「んーそうねー」と指を顎先にあて、考える素振りをする。 「天然タラシってのはあるかもだけど、それなりに上手くやってるみたいよー。そこまで大きなトラブルは聞いたコトないし」 「そこまで……」 「そりゃまぁ、恋愛詐欺まがいな商売やってんだから、多少のトラブルはつきものでしょ」 恋愛詐欺まがいって……。 反論は出来ないが。
/238ページ

最初のコメントを投稿しよう!

145人が本棚に入れています
本棚に追加