カワイイ俺のカワイイ危機感

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拓さんと時成(外見上は"あいら"だ)はいつの間にやらすっかり意気投合し、やんややんやと盛り上がる中で、俊哉はどうしたらいいのかわからない、というようにデカイ身体を縮こまられていた。 が、流石は"実力派"の二人。今では俊哉も楽しそうに相槌を打っては、時折言葉を交わしている。 「なんか今日のユウちゃん冷たくない? ウチでは結構ノリいいのに」 「おれや俊哉さんが居るんで、恥ずかしいんだと思いますー。大目に見てあげてくださいー」 「なんか、すみません……」 「あ、そーゆーコト? 恥ずかしがり屋なユウちゃんもイイね!」 「拓さん、声大きいです」 テンションの高い拓さんへ突っ込みを入れながら、注ぎ終わった三つ目のグラスを時成の隣、奥側に座る俊哉の前に置く。 「ありがと」と笑む顔はすっかりいつもの俊哉だ。 もう暫く拓さんに気圧されていりゃいいのに。 八つ当たり気味にジト目で見遣るとビクリと肩を跳ねさせるので、隣の時成に「もう、俊哉さんでストレス解消しないでくださいー」と呆れながら視線を両手で遮られる。 拓さんの来訪は仕方ないとしても、こうして妙な相席が出来上がってしまったのは時成が原因である。 お前にも言いたいことはあるぞ、と含ませた視線を送れば、不穏な空気は察したようで肩を竦めて「てへ」と言わんばかりに小首を傾げてみせる。 てへじゃない。 なんなんだこの状況。
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