カワイイ俺のカワイイ危機感

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ややこしい? 確かに、カイさんを好きになった時点で、十分ややこしい状況になっている自覚はある。 だが、そんなのは拓さんだって百も承知だろう。 わざわざこんな勿体ぶった言い方はしない筈だ。 今の響きはどちらかというと、不安要素に気がついていない、俺への"忠告"。 (頼むから、忠告してくれるんならもっと分かりやすく言ってくれ!) 額をおさえて大きな溜息を吐き出した俺は、この拓さんに出された"謎々"に、暫く頭を悩ませる事になった。 それでも未熟な俺は、この時既に取り返しの付かない事態を招いていた事に、気付けないままでいた。 *** 「……すみません、カイさん」 予想以上に向けられる人の目に、謝罪が思わずついて出た。 それでも隣を歩くカイさんは、俺を見下ろしながら不思議そうに首を傾げる。 「ん? どうしたの? ユウちゃん」 木曜日の午後三時。 学生ならばまだ講義中でもおかしくないし、社会人ならば定時には早過ぎる時間帯だろう。 けれども辺りに立つ年齢も様々な女性達の目が、カイさんがクリーム色のタイルを進む度に暫しボンヤリとついてくる。 数日ぶりのカイさんとの会合。 いつもと事情が少し違うのは、ここが最早定番化している吉野さんの店ではなく、キャメル色の壁に囲まれた商業施設の三階に位置する女性フロア内だからだ。
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