カワイイ俺のカワイイ危機感

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俊哉の妹である我らが姫、由実ちゃんの誕生日を三日後に控えた俺は、例年のごとくささやかながら誕生日プレゼントを用意しようとしていた。 一応、こうした格好をしている身として女性の流行りも一通りおさえていはいるが、プレゼントとなるとまた勝手が違う。 相手の好みと実用性を兼ね備えていなければ、「ありがとう」の愛想笑いの次には暗い引き出しの中だ。特に『女子高生』なんて、一番ムズカシイお年頃だろう。 中途半端な品を渡せば、使われないどころか兄(仮)としてのポイントも下がる。 そんなの悲しいじゃないか。 だがやはり、いくら見た目を女性に寄せているからといっても、心は『そのまま』である俺の感性は『男』のままだ。 ならば女性の意見を取り入れるのが一番確実だろう、と思い至り、本日のエスコートはプレゼント探しの協力を依頼していた。 渡す時に告げようとしている『カイさんと一緒に選んだ』という一言に、株が上がるんじゃないかという思惑と、直接は伝えられない謝罪を込めているのは俺だけの秘密である。 ついでにこうして買い物に出かける事で、カイさんの好みが知れるんじゃないかという下心も。 「あ、カイさん、ポーチとかどう思います?」 丸い円柱を取り囲むように配置されたポーチは色はさることながら、形もバッグのように上部に取っ手がついているものや、マチの広い台形状のコロンとしたものと種類は様々だ。
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