カワイイ俺のカワイイ危機感

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(訊いてもいいのか……? でも、あんまり触れられたくない話しだったら……) 複雑な心中を抱えながらヘアアクセの並ぶ台へと歩を進め、ズラリと並ぶ商品を覗き込む。 当然のように隣に立ったカイさんの表情をこっそりと伺うと、すっかり吟味する体制だで目の前のキラキラに夢中だった。 「……どーゆーのがいいと思います?」 「そこは由実ちゃんの好みと、ユウちゃんの希望のすり合わせじゃないかな」 「希望?」 「うん、使って欲しいって事は、使ってる所を見たいって事かなって思って。だから、コレを付けてる姿が見たいっていうユウちゃんの希望も入るんだろうけど、その希望が本人の意思に沿うかはわからないから」 (……随分と具体的だな) これには少し、探りを入れてもいいだろうか。 「……言われてみれば、確かに僕の趣味と由実ちゃんの趣味って違いますし。もう少しで僕の好み全開のモノを押し付けるトコでしたよ」 「そう? なら良かった」 「カイさんも、誕生日プレゼントとか選んだりとかするんですか?」 「うん、里織と知り合ってからは、毎年。誕生日もそうだけど、クリスマスに交換とかもしてて。あと、この店に入ってからは拓さんも祝ってくれるから、お返しにね」 (ああ、そういう……) 考える素振りもなくサラリと告げるカイさんに、ほっと胸を撫で下ろす。 特定の相手が居たのなら、多少なりとも動揺が見えただろう。
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