カワイイ俺のカワイイ危機感

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スマートフォンで時間を確認すれば、もうすぐ着信がある頃だろう。 俺はお会計に、カイさんは邪魔になるからと店外の通路で待機してくれている。 「プレゼント用に出来ますか?」 「はい! リボンはこちらの三色からお選び頂けますが、いかが致しましょう?」 「えーと……じゃあ、赤いので」 「かしこまりました。先にお会計失礼します」 後ろに控えたもう一人のスタッフに包装を依頼したお姉さんによって会計を済まし、「お隣で少々お待ち下さい」と促されるまま壁側へと寄った。 オレンジの照明にキラキラと輝くバレッタが、薄い用紙で手際よくクルクルと包まれていく。 慣れたもんだと眺めて、なんとなしに壁の内側につくられたショーウインドウへと視線を流した。 途端に、目を奪われた。 マグカップ程の大きさで造られた白いトルソーの首元で、静かな光を放つ銀色のネックレス。 波のような二つの曲線がぐるりと覆う中央に、薄い水色の石が控えめに、それでいても確かな存在感をもって悠然と輝いている。 上品だけど、柔らかさのある。 主張しすぎないけど、華やか。 (……カイさんに、似合いそう) そう思ったら、もう、釘付けだった。 「お待たせ致しましたぁー! プレゼント包装でお待ちのお客様ぁー」 「っ、はい」 甲高い声に意識を引き戻され、掌より若干大きめの紙袋を受け取った。 中を覗くと曲線の多い長方形の小箱。目を引く赤いリボンが右上に張り付いている。
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