カワイイ俺のカワイイ贈り物

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やっちまった、という思いは一切ないのかと訊かれたら、ハイそうですと胸を張って言えないのが俺の悪い所だ。 けれども後悔はなかった。手元にやってきたネックレスは、何度見てもやはり彼女の首元で揺れる姿を彷彿させた。 「とうとう今日がきちゃいましたねー」 感慨深そうに呟いたのはフード待ちの時成だ。 俺はグラスに氷をジャララと入れながら、ドリンクを注いでいく。 「勢いがついたら急に思い切りが良くなるのって、先輩のいいとろですよねー」 「ありがとうって言っておくか?」 「複雑なんですー! 体当たりかますくらい気持ちが固まってくれたのは嬉しいですけど、もし粉々になったら、先輩、再起不能になるんじゃないかって思っちゃってー」 「……そうかもな」 「そこはかっこ良く"大丈夫だ"って言ってくださいよー」 不満そうに頬を膨らませながら、時成がはぁ、と息をついた。 「でもまー、プレゼントを渡すコトがイコール先輩の気持ちを伝えるってコトになるわけじゃないですけどー、やっぱり意識させるのは事実ですからねー。まぁ先輩なら、おれが言わなくたってわかってると思いますけど―……」 たぶん、プレゼントを渡そうとしている俺を止めたいワケではなく、時成も緊張しているのだろう。だからこうやって、グチグチと言葉を紡いでいないと、不安なのだ。
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