カワイイ俺のカワイイ贈り物

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「何の考え事? そっちの方が気になる」 「そんな、大したことじゃないですよ」 「アラ、言えない事なのね」 (……なんだ?) あくまで軽い口調なのに、レナさんの纏う空気にピリリとした違和感。 「……夕食を何にするか、冷蔵庫の中身を思い出してたんです。こんな現実味のある話、わざわざ、恥ずかしいじゃないですか」 「……そう。なんならご飯、作りに行ってあげましょうか?」 「え? っと」 「冗談よ。そんなに狼狽えるなんて、やっぱり"らしくない"わね」 アイスコーヒーをカラリと鳴らし一口吸い込んだレナさんには、からかうような雰囲気だけで先程の違和感はない。 怒らせてしまったのかと思ったが、どうやら違ったらしい。 女性ってのは、本当によく分からない。 レナさんが次の言葉を発しようと唇を開いた時、俺のエプロンが後ろからくんと引かれた。 何事かとガバリと後ろを振り返ると、犯人の時成がニコリと可愛らしい笑みを向けてくる。 「ユウちゃん先輩ー。もうすぐ五番テーブルさんのお料理が出るそうですー」 こうしてわざわざ言いに来るのは珍しい。 「あ、ああ……ありがと、あいら。レナさん、ちょっと失礼します」 「……ええ」 話を遮られたレナさんは、不機嫌そうにしながらも渋々といった様子で頷いた。
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