カワイイ俺のカワイイ贈り物

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後始末を終え、パントリーで申し訳無さそうに「すみません」と眉をハの字にした時成に溜息をついた。 上手いこと作ってみせるその手腕は褒めてもいい。が、手段は納得いかない。 「……わかったから、あんまり危ないコトすんなよ。怪我したらイヤだろーが」 俺の言葉に時成は瞠目すると、困ったような苦笑を浮かべた。 「……すみません、先輩」 「ったく、本気でビックリしたんだからな」 ジトリと見遣った俺に、時成は「ごめんなさい」と呟いた。反省したのだろう。これで次はもう少し、安全な策をとってくる筈だ。 ともかく、出来るだけ不自然にならないように、レナさんと距離をとらなければ。その気になれば、時成を問い詰めるのはいつでも出来る。 その時、来店を告げるベルがカランと鳴った。恐縮するように肩幅を狭くしながら立っていた人物は、見覚えのある顔だった。 「っ、コウさん」 「わっ、覚えててくれたんですかっ!?」 そりゃアレだけ有望な人材を忘れるがない。という本音は綺麗に仕舞い込んで、「当然ですよ。お帰りなさいませ」とスカートの裾をつまみ軽く膝を折る。 なんというか、ナイスタイミング。 コウくんには申し訳ないが、暫く"隠れ蓑"になってもらおう。
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