カワイイ俺のカワイイ贈り物

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案内した席はレナさんの座る中央席の後方側にあたる、壁側奥のボックス席。 レナさんからしたら、振り返らなければ俺の姿が見えない位置だ 。とりとめのない会話を紡ぎながらメニュー表を広げる。 「お久しぶりですね。またご帰宅頂き、ありがとうございます」 「ホントは、あれからすぐ来たかったんですけど、ちょっと色々あって……」 これは深追いしないほうがいいだろう。 「それにしても、来てくださったのが今日で良かったです。僕も毎日ここにいるワケではないので、タイミングが合わなければ、お会いできませんから」 「それは、その……おれも思いました。いるかどうか、わかんなくて、でもユウさんに会えたらいいなって、思って来たんで……」 恥ずかしそうに徐々に小さくなっていく音量とは反対に、頬だけでは留まりきらなかった朱色は顔を通り越して耳まで到達している。 可愛らしい。ちょっと苛めたくなる雰囲気は健在だ。 やっぱいいな……と腹の底で舌舐めずりをしながらも、俺はコウくんのある変化に首を傾げた。 「コウさん、髪、片方耳にかけるようにしたんですね」 「っ、やっぱ、変ですか!?」 「へ? あ、いえ、前回は確か違ったよなって思っただけで、よくお似合いです」 「……っ、に、あうって、その」
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