カワイイ俺のカワイイ贈り物

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緊張にすぅ、と息を吸って、扉を開けた。見慣れた店内奥の受付で、やはり見慣れた人物がひらりと片手を上げた。 「今日も気合バッチリだね、ユウちゃん」 「カワイイですか?」 「ユウちゃんはいつだってカワイイよ」 拓さんと挨拶のように交わせる軽口が、今の俺にはありがたい。 緊張に強張る肩が緩んでいくのを感じながら、会計を済ました。 ふと、拓さんが不思議そうに俺を観察し始める。 何か変な所があったかと自分でもスカートを見下ろすと、拓さんは「あーううん、そうじゃなくって」と、やはり不思議そうに親指を人差し指で顎を挟むようなポーズをする。 「なんか、今日は雰囲気が違うっていうか……緊張? してるっていうか。……なんかあった?」 「っ」 どうしてこの人はわかるんだ。 拓さんだから気づけたのか、誰からみてもわかる程に駄々漏れなのか、俺には判断がつかない。 ギクリと肩を揺らした俺に、拓さんは確信を得たのだろう。 途端にニヤニヤとした顔をする。 「えーなになに? やましい系?」 「や、ましくは、ないですけど」 いや、場合によっちゃあやましいのか?
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