カワイイ俺のカワイイ贈り物

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「ふーん、そー? でもそーやって、ココでは言えないような内容なんだ?」 「っ、拓さん」 これは内容知りたい云々ではなく、俺を弄って遊んでるだけだ。 顔がそう物語っている。 咎めるように睨め上げるも、きっと俺の頬は反射で赤く染まっているのだろう。 怯んだ様子など一ミリも見せない拓さんは、「うん、その顔もカワイイね」とご満悦顔だ。 (ホントもうこの人は……) 頭を垂れた俺の耳に、カツリと床を叩く靴の音が届いた。 「……もし本当にユウちゃんに何かあったなら、それを聞くのはオレの役目ですよ」 (っ、カイさん) 眉間を皺に寄せて現れたカイさんに、拓さんは降参のポーズのように両手を上げ、肩を竦めた。 「わーかってるって。そんなコワイ顔してると、ユウちゃんに怖がられるよ?」 「……今更です」 そう言いつつも、カイさんは伺うような目でチラリと俺を見る。 勿論、カイさんのこうした不満顔はもう見慣れているし、だからといって恐怖を抱いているワケではない。 安心させるように苦笑してみせた俺に、カイさんは安堵したように小さく笑んだ。 そんな俺達のやり取りを見て、拓さんが「ははーん」としたり顔で口角を上げる。 けれどもそれも一瞬で、仮面を被るかのように腹の見えない笑顔をにっこりと浮かべた。
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