カワイイ俺のカワイイ贈り物

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(……それもそうか) 馴染みの場所とはいえ、ここは飲食店だ。 注文もせずに話し込む訳にもいかない。 今日は少し忙しそうな吉野さんと軽い挨拶を交わし、晴れて新メニューとなっていたフレンチトーストと紅茶、カイさん用のコーヒーを注文した。 ちょっと待っててねー!、と去りゆく背が慌ただしく次に向かうのを見送り、俺は「さて」と居住まいを正す。 それが合図だと悟ったカイさんは、気を落ち着けるように冷水をひとくち流しこむと、困ったような笑みのまま口を開く。 「……ユウちゃんは、『らしくない』時って、どうしてる?」 「……え?」 「ごめん、突然こんな事訊かれも、困るよね」 「あ、いえ、それはいいんですけど……」 (らしくない、とき?) ココ最近の俺の『らしくない時』といえば、ほぼほぼカイさん絡みだ。 そしてどれも、何とか切り抜けているといった程度で、特に打開策があった訳じゃない。 というか。 「……『らしくなく』なった原因って」 その返しは予想していなかったのか、カイさんははっとしたように頬を強張らせた。 戸惑いに揺れる瞳。 『カイ』の仮面が、剥がれ落ちていく。
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