カワイイ俺のカワイイ贈り物

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その中で、いや、もしかしたらキッカケは別にあるのかもしれないが、ともかくカイさんがまだ『特定』を作っていない限り、こうして誰かを想うようになっても、おかしくはなかった。 (わかってた、つもりだったんだけど) 実際直面してみると、案外しんどい。 「……この間は、ありがとうございました」 「えっ?」 カイさんが顔を跳ね上げる。 「由実ちゃん、喜んでくれてました。これなら学校でも使えるって、写真、送ってくれたりして。カイさんのアドバイスのお陰です」 突然話題を変えて微笑む俺に、カイさんは戸惑いながら言う。 「……喜んでくれたのなら、よかった。でも、選んだのは、ユウちゃんだし」 「いえ、僕ひとりじゃ、きっと失敗していましたから」 カイさんの想う相手は、どんな人なのだろう。 背が高くて知的な男性だろうか、色気たっぷりの女性だろうか。 少なくとも、俺には無いモノを持つ人なのだろう。 心臓がツクリツクリとないている。 悔しいのか、悲しいのか。 俺にはこの痛みの理由は、わからない。 「……だからこれは、お礼も兼ねての誕生日プレゼントです」 鞄から取り出した小型の紙袋から、青いリボンのついた小箱を取り出しカイさんの目の前に置く。 カイさんはこれまでで一番じゃないか、というくらい、いつもは涼やかな目元を見開いて、笑顔を浮かべる俺の顔と小箱を交互に見遣った。
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