カワイイ俺のカワイイ本当

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「可哀想な人ね。言い寄られた経験が少ないのかしら? 勘違いしているようだから教えてあげる。ユウちゃんは特別、アナタにだけ優しいんじゃないの。皆に等しく優しいのよ。そもそも、ユウちゃんがアナタと懇意にしているのだって、アナタ自身に興味があるんじゃなくて、アナタのその『演技』が物珍しいだけよ」 息を呑んだのは俺だった。 「ユウちゃんは賢い子だから、大方、勉強材料にでもしているんじゃないかしら。なのにアナタときたら、そんな事にも気づかずに、ユウちゃんに付き纏って。迷惑極まりないのよ」 止めないと。 そう思うのに、アスファルトに縫い止められた足は微動だにしない。 氷柱の杭を打たれたかのように、胸の内が冷え冷えとしている。 罪悪感。後ろめたさ。後悔。 それらがゴチャゴチャに混ざり合って、俺の背に重く伸し掛かる。 レナさんの言葉は紛れも無い事実だ。俺には否定出来ない。 カイさんも、思い当たる節があったのだろう。 レナさんの言葉に俯いたまま、無言を貫いている。 「わかったでしょ? 自分の立場が」 さながらチェックメイトを宣言した勝者のように、レナさんが口角を上げる。
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