カワイイ俺のカワイイ本当

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「……普通に、いい子だなって思ってた。特別な感情じゃなくて、本当に、お客さんの一人として。ただ、『似てる』雰囲気があるのが、ちょっと気になったけど……でもそれは、単純に『同じ』だからだと思った。女だけど、男を装って、男の子だけど、女の子を装う。ちゃんと関わるのは初めてだったけど、ユウちゃんは話しやすくって、一緒の時間はあっという間だった」 言葉を紡ぐ彼女は、影に沈むアスファルトを見つめたままだ。 「回数を重ねる度に、次に会える時が楽しみになって。でもそれは、気の合う友達に会えるような、そんな気持ちだと思ってた。……そう、思ってたんだけど」 「……」 「……拓さんが、知らない間にユウちゃんと仲良くなってるのを見て、なんだか、焦ったっていうか、戸惑ったっていうか……嫌だなって、思った。けど、なんでそう思っちゃうのか、よくわからなくて……。迷っている間に、里織とも仲良くなってて。……でも、ユウちゃんはまだ、真っ直ぐに見てくれてたから。理由に辿り着く前に、とにかくその目が他に向かないようにしなきゃって、思った」 「っ」 まるで、独占欲にも似た言い回しに、心臓が小さく跳ねる。 (それは、どうして――)
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