カワイイ俺のカワイイ本当

20/32

146人が本棚に入れています
本棚に追加
/238ページ
「……ユウちゃんは、優しいから。どうしてこんなに優しいんだろって思うのと、誰にでも優しいんだろうなって気持ちがグルグルして。なんでそんなにグルグルしてるのかもわからなくて。……あの時、拓さんに『客』だって言われた時、凄く苦しくなった。……ユウちゃんの事も、傷つけたんじゃないかと思って。でもユウちゃんは、ちゃんと割りきってたから。……おかしいのは、自分なんだって、わかった」 「っ、それは」 「『私』は」 「っ!」 乗せるだけだった指先に力が込められ、縋るように俺の掌の半分を握りこんだ。 伝わる体温は先程よりも温かい。うっすらと感じる震えと、彼女の言葉に、鼓動が早くなる。 「プレゼントを真剣に選んでるユウちゃんを見て、贈られる相手を羨ましいって思った。女の子達に囲まれた時も、嘘でも『そういう』フリをして、満足感に浸ってた。……この、ネックレスを、もらえて」 彼女が重々しく上げた手の中で、千切れた鎖がシャラリと流れた。 「っ、本当に、嬉しかった……!」
/238ページ

最初のコメントを投稿しよう!

146人が本棚に入れています
本棚に追加