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「……一緒の時間が楽しくて、仲の良い人に嫉妬して、プレゼントを貰って嬉しくて。……こうしてくっついて、嫌じゃないのって、『好き』ってコトだよね?」
「……俺に訊いたら、こちらに都合のいい答えしか返しませんよ? 『ユウ』も『俺』も、優しいというよりは計算高いですし」
「優しさのある計算高さだよね。だってそうやって、わざわざ忠告してくれるんだから」
クスクスとした声が肩口から届く。
なんだか俺も気が抜けて薄く息を吐き出したが、そろりと背に伸ばされた指が服を握った感触に、また息を詰めた。
「好き、とか、よくわかんなくて。だけど今すっごい、心臓がバクバクしてる」
顔を上げた彼女は少しだけ首を傾けて、俺の顔を覗き込むようにふわりと笑んだ。
「今、凄く嬉しい。好きって言ってもらえて、本当に、嬉しい。私も、『ユウちゃん』だけじゃなくて、『あなた』のコト、もっと知りたい。沢山一緒にいて、いっぱい時間を重ねて。『お客さん』じゃなくて、『特別』として側にいて欲しいし、私も、そうなりたい。……これが答えじゃ、駄目?」
和らいだ瞳で見つめながらお伺いを立てられ、俺は力なく両手で顔を覆った。
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